推薦文献 3.人間
2025.04.08
人間理解を深める書籍を紹介します。普通の雑談や人間関係構築には全く不要と言っていい本ですが、より深く人間について知ることで、それらの意味や方向性が変わるでしょう。

トラウマインフォームドケア :“問題行動”を捉えなおす援助の視点 「野坂 祐子 」
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問題行動の背景には大抵トラウマがあり、それに基づいた人間理解と援助のアプローチが必要だと説く。対人支援職だけでなくすべての人に、人間を軽蔑する前に一読することを勧める。

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 「ユヴァル・ノア・ハラリ, 柴田裕之 (翻訳)」
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人類史についての本だが、最重要なのは虚構の力についてである。お金,国,法律,価値観,社会規範…は現実の世界には存在せず、人間集団がイメージによって作り出し合意した虚構だということは、目を覚まさせてくれる、最高の本。

ルーズな文化とタイトな文化―なぜ〈彼ら〉と〈私たち〉はこれほど違うのか 「ミシェル・ゲルファンド, 田沢恭子 (訳)」
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本書によれば日本は世界8位のタイトな文化の国らしい。それはどういうことなのか?なぜなのか?ルーズ/タイトの指標で国と文化を測ると様々な社会的事柄を楽に説明できる?

文化がヒトを進化させた―人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命 「ジョセフ・ヘンリック, 今西康子 (翻訳)」
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遺伝子と環境の相互作用によって生物の進化は進む。しかしそこに文化の累積が加わることで、ヒトは他の生物種とは一線を画す発展を遂げた。人間,文化,歴史の見る目が変わる、素晴らしい最高の本の一冊。

WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理 :経済的繁栄、民主制、個人主義の起源 「ジョセフ・ヘンリック, 今西康子 (訳)」
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WEIRD:西洋の,教育水準の高い,工業化された,裕福な,民主主義の人達は、個人主義的で未来を見据えて勉強し科学的で他者を信頼する。それにより現代は築かれた。人類史的に奇妙な我々の心理を形成した立役者は、キリスト教だった!?

ストーリーが世界を滅ぼす――物語があなたの脳を操作する 「ジョナサン・ゴットシャル, 月谷 真紀 (翻訳)」
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我々は世界を単なる事実の連続としてではなく、意味のある物語としてとらえている。それは妄想だが、役に立つ作り話だ。しかしそのウソの物語は歴史上何度も人類に災厄をもたらしてきた、今度のそれは世界を滅ぼすかもしれない。

なぜ悪人が上に立つのか: 人間社会の不都合な権力構造 「ブライアン・クラース, 柴田 裕之 (翻訳)」
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権力は腐敗するのか、それとも腐敗した人間が権力に引きつけられるのか?という問いから出発し、悪と権力について科学的考察を巡らします。過去に権力を悪用した人物にインタビューする様子はぞっとしますね。

信頼はなぜ裏切られるのか―無意識の科学が明かす真実 「デイヴィッド・デステノ, 寺町朋子 (翻訳)
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ネガティブな感情が成功を呼ぶ 「ロバート・ビスワス=ディーナー, トッド・カシュダン / 高橋由紀子 (翻訳)」
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ポジティブシンキングを無理にするとメンタル病みますよ、むしろネガティブな感情をきちんと取り扱えば人生の役に立ちますよ、って本。自然な感情には理由があって、それは現状を改善するエネルギーになる。不快であっても。

悪意の科学 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか? 「サイモン・マッカーシー=ジョーンズ, プレシ南日子 (翻訳)」
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自己愛過剰社会 「ジーン・M・トウェンギ, W・キース・キャンベル, 桃井 緑美子 (翻訳)」
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ナルシシズムは日本でもますます広がっている。その特徴と弊害を知るのは益になるだろう。

ステレオタイプの科学 「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか 「クロード・スティール / 北村英哉 (その他), 藤原朝子 (翻訳)」
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偏見は認知を歪ませ、他人をレッテルにはめて、フェアに評価する姿勢を最初からなくさせる。自分自身に対してもそうである。あなたがいかに決めつけているか、教えてくれるだろう。

日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション――人種、ジェンダー、性的指向:マイノリティに向けられる無意識の差別 「デラルド・ウィン・スー, マイクロアグレッション研究会 (翻訳)」
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微妙な言葉,目線,行動によって受ける、馬鹿にされたのではないかというモヤモヤ。気にしすぎの自分が悪いのか?マイクロアグレッションと呼ばれるあからさまでない、しかしやっかいな侮辱について論じている。

あなたのなかのサル: 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源 「フランス・ドゥ ヴァール (著), 藤井 留美 (翻訳)」
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チンパンジーとボノボは遺伝的に人類に最も近い種である。彼らが持つ性質は我々も遺伝的に持っている可能性が高い。チンパンジーのように地位を得るために政治的に戦ったり、逆にボノボのように平和的であることもある。

ファスト&スローあなたの意思はどのように決まるか? 「ダニエル カーネマン, 村井 章子 (翻訳)」
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言わずと知れた行動経済学の金字塔。人間の意思決定のいい加減さを暴いた本は本書以降多く出版されているが、やはり読んでおきたい。どんなに頭のいい人が真面目に考えてもバイアスの餌食になるのだから、我々はいったいどうすれば。

影響力の武器:人を動かす七つの原理 「ロバート・B・チャルディーニ (著), 社会行動研究会 (翻訳)」
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人間には、カチッとスイッチがはいれば機械が自動的にサーっと動いてしまうような、心理的傾向がいくつかある。合理性とも関係ない。熟慮もしなくなってしまう。人が動いてしまう弱点を突いた誘導を見破るために読んでおこう。

脳はこうして学ぶ:学習の神経科学と教育の未来 「スタニスラス・ドゥアンヌ, 松浦 俊輔 (翻訳)」
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1,注意 2,能動的関与 3,誤りフィードバック 4,定着(睡眠)が学習には効果的であると神経科学は突き止めている。その知見を教育にいかそうぜって本。

善と悪のパラドックス ーヒトの進化と〈自己家畜化〉の歴史 「リチャード・ランガム, 依田卓巳 (翻訳)」
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「最も温厚で最も残忍な種=ホモ・サピエンス。協力的で思いやりがありながら、同時に残忍で攻撃的な人間の特性は、いかにして育まれたのか?」。利己的な者を暴力で排除し、利他的な者だけが生き残り子を成した=自己家畜化について。

モラル・トライブズ――共存の道徳哲学へ 「ジョシュア・D.グリーン, 竹田 円 (翻訳)」
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我々はなぜ道徳を持つのか?それはどのように働くのか?何が正しい道徳なのか?科学的知見の総まとめと著者の主張は、これらの問いに回答してくれる。我々は直観としての感情的道徳を一応は信頼していい?

社会はなぜ右と左に分かれるのか――対立を超えるための道徳心理 「ジョナサン・ハイト, 高橋 洋 (訳)」
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政治の…というより道徳の起源について研究した心理学の本。道徳は理性による合理性や教育ではなく、進化的に理由のある、本能的感情的なものだと明らかにし、道徳的直観の分類を試み、その結果から政治まで考察する。

進化を超える進化 サピエンスに人類を超越させた4つの秘密 「ガイア・ヴィンス, 野中 香方子 (翻訳)」
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本書によれば人類が飛躍的発展を遂げた要因は火,言葉,美,時間だという。人類がいかに文化や自然との関係を変えてきたかのビッグヒストリー。元ネイチャー誌編集者の傑作。どこを切り取ってもおもしろい。

情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論 「リサ・フェルドマン・バレット, 高橋 洋 (翻訳)」
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外界からの刺激に対して反応するのが脳の仕事ではない。脳は世界のモデルを作り、それに基づいて予測する。
同著者のわかりやすいのはこちらバレット博士の脳科学教室 7½章